中国はデカすぎて理解不能

中国を語るとき、どこから話を始めるべきか?それは決まっている――数字だ。なぜなら、中国のすべては「とにかくでかい」という話から始まる。そして、それはただの比喩じゃない。「うわっ多っ」って反応するレベルの話が、あの国では「ふつう」だから。

目次

人口:14億人という人類の渋滞

中国の人口は約14億人。この数字がどれだけバグっているか、ちょっと比べてみよう。たとえば、日本。あの混んでる満員電車でさえ、人口は約1.2億人。つまり中国は、日本を12個くらい合成して、やっと並ぶスケール。

これだけでもう想像がつかない。もっと日常的に考えてみよう:

  • 中国で「ちょっと流行ってる」レベルのSNSアプリは、利用者数が数億人になる。
  • 中国の春節(旧正月)の帰省ラッシュでは、30億回の移動がある。何この人間シャッフルゲーム。
  • 国家試験(高考)の受験者数だけで1000万人超え。

日本の共通テスト(大学入試)→ 50万人前後

ざっくり言って、20倍差。日本人一人が一生懸命ノートまとめてる間に、中国ではその20倍の人が同じように眉間にシワ寄せてるわけ。

人口の多さって、単に「人が多い」ってだけじゃない。それは市場の大きさであり、労働力の供給源であり、統治の難易度がバグってる証拠でもある。国を運営する側からしたら、14億人の胃袋を満たして、夢を見せて、暴動も起こさせずに保たせるというのは、もはや神業。お疲れ様です。

都市化:メガシティがゴロゴロしてる異次元空間

中国には、北京や上海だけじゃない。100万人を超える都市が100以上ある。言い換えると、「日本の最大都市クラス」が、中国では「なんか3軍くらいの地方都市」としてポンと存在しているのだ。

それぞれのメガシティには、下手すると国1個分の経済力がある。たとえば:

  • 上海のGDP:2023年でおよそ5兆元(約100兆円)。これはオランダやスウェーデンよりも多い。
  • 深圳:1980年代までは漁村だったが、今ではテクノロジーと金融の中心地。Appleの工場もあるし、電気自動車のBYDとかもここ。
  • 重慶:内陸にあるのに、なぜか高層ビルだらけ。面積は東京都の25倍、なのに「都市」。

中国では、「都市の定義」が違う。高層ビルが林立して、地下鉄が10路線以上あって、空港も2個くらいある…ってレベルで、やっと「まあまあの都市」扱い。こっちが東京駅で乗り換え迷ってる間に、向こうでは新しい地下鉄路線が開通してる。

東京 vs 中国都市

じゃあここで、日本が誇る経済エンジン「東京都」と中国のトップ都市たちをもっとガチで比べてみよう。「スケール」って、単にでかいだけじゃなくて、どこまで金を回せるかって話でもあるからね。

東京都のGDPは、2022年時点で約113兆円(約8300億ドル)。これは世界的に見ても国家レベルの規模で、スイスやオランダに肩を並べる。つまり東京は、実質ひとつの「国」としてカウントされても文句はないレベル。

じゃあ中国の都市たちはどうかというと:

  1. 上海:約6600億ドル
  2. 北京:約6100億ドル
  3. 深圳:約5000億ドル
  4. 広州・重慶なども4000億ドル超え

単体では東京に届いていない都市も多いけど――ここがポイント――中国は「都市群」で戦ってくる
例えば:

  • 長三角経済圏(上海+周辺都市) → GDP合計:2兆ドル超え
  • 珠江デルタ(深圳・広州・香港など)1.5兆ドル以上

東京が「ソロアーティストのカリスマ」なら、中国は「K-POPアイドルグループの完全フォーメーション」。人数で殴ってくるし、振付もキレキレ。こわい。

しかも中国の都市は成長率がえげつない。数年後には、今の順位なんて「昔話」になってる可能性大。

経済:大きすぎてスケール感が崩壊

中国のGDPは、2024年で世界第2位。米国に次ぐ経済大国であり、しかも数十年前までは「発展途上国」扱いだったことを考えると、これはもはやバグ。-

  • 輸出総額:2023年で3.3兆ドル。世界の工場どころか、もう世界の物流センターになりつつある。
  • スマホの生産台数:年間で10億台近く。日本人のポケットの中のスマホ、中国製か中国で組み立てられてる確率ほぼ100%。
  • 電気自動車(EV)の出荷数:2023年には900万台超え。つまり、テスラだけが頑張ってると思ってたら、中国のBYDが後ろで「俺の方が売れてるけど?」って囁いてる。

そしてこの経済成長を支えるために、中国政府はありとあらゆる「スーパープロジェクト」を実行している。たとえば:

  • 高速鉄道の総距離4万km超え。地球一周分より多い。もう列車の上に列車が走ってても驚けない。
  • 巨大な橋、ダム、空港:数百億円規模の建造物を「じゃ、来年までに作っといて」で進める胆力。

教育と労働市場:人が多いって、それだけで地獄

人口が多いということは、競争も激しいということだ。特に教育分野では、ちょっとした人生ゲームどころか、「人間ストリートファイター」が繰り広げられている。

  • 高考(大学入試)は、人生を左右する超決戦。偏差値?そんな甘いもんじゃない。
  • 小学校から塾三昧。都市部の小学生は、放課後に英語・数学・ピアノ・プログラミングの4コンボをこなす。
  • 卒業しても就職は地獄。新卒でも経験求められるし、年収はピンキリ、家賃は高い。

労働市場は「人が多すぎて選び放題」という悪夢みたいな状況で、ホワイトカラーもブルーカラーも、常に何かと戦ってる。眠らない社会?いや、寝る時間が削られてる社会

デジタルデータ:人が多い=データも多い

もう一つの面白い数字の話として、中国が持っているユーザーデータの量がある。

  • WeChat(微信)ユーザー数:13億人。もはやインフラ。チャットアプリっていうか、生活そのもの。

WeChat(微信)とは?

「LINE+Facebook+Instagram+PayPay+Googleマップ+楽天市場+身分証明書」=WeChat

もう意味わかんないでしょ?でも本当なんだよ。

中身の正体:

WeChatは中国のスーパーアプリ。日常生活のあらゆる行動がこのアプリひとつに詰め込まれてる。具体的には:

  • メッセージ機能(LINE)
    • テキスト、音声、通話、グループチャット、スタンプ、ぜんぶある。
  • SNS機能(Facebook/Instagram)
    「モーメンツ」っていうタイムラインがあって、友達の投稿が流れてくる。
  • 決済機能(PayPay/LINE Pay)
    • QRコードで支払い、送金、電気代の支払いもできる。
  • 生活機能(Suica+Googleマップ+Uber Eats)
    • 電車の乗車、タクシー配車、レストラン予約、宅配注文、病院の診察予約も可能。
  • 身分証機能(マイナンバー+保険証+運転免許)
    • 実名認証済みのアカウントが基本で、役所的なこともWeChat内でできる。

つまり、「アプリを立ち上げるたびに別のアプリを開く」とか、そういうの中国人はもうやってない

  • Alipay(支付宝)の決済件数:1日数十億回レベル。現金?あー、そんなの昔の話だったね。

Alipay(支付宝)とは?

「PayPayが本気出して、クレジットカードもATMも要らなくした世界。」

Alipayはアリババグループが作った決済アプリ。でもただの決済じゃない。

中身の正体:

「財布持たない中国人」って本当にいて、スマホだけで生活してるのはコイツのおかげ。

  • QRコードで支払い(コンビニから屋台まで)
  • 公共料金の支払い
  • 銀行送金・貯金口座連携
  • 医療保険・証券・融資サービスまで
  • クレジットスコア(芝麻信用)が付いて、社会的信用の指標になる

日本の類似アプリ?

  • PayPay+メルペイ+クレカ+Suica+保険アプリ…を一個にまとめたやつ
  • でも日本にはここまで生活を支配してるアプリは、ない
    **日本のは全部バラバラ。ログインIDも別、アカウントも別、UIも絶望的にバラバラ。**不便だね?
  • 顔認証カメラの数:200万台以上。個人の行動履歴がすべて記録されてるレベルのサイバーな監視社会。

監視カメラじゃないよ。“顔認証”カメラね。見てるだけじゃない、解析してるの。

「街角の防犯カメラが全部、個人の名前・年齢・職業・過去の行動履歴を把握してる社会。」

このデータの山は、AI開発や行動分析、マーケティング、そして国家による統治に活用されている。つまり、「数字が多い=未来を先取りしてる」って側面もある。こわい?うん、ちょっとね。


結論:数字が巨大だと、すべてが変わる

中国の「スケール」は、単なる大きさの話ではない。それは社会の仕組み、政治の在り方、経済戦略、そして人間関係までも変えてしまう。人が多すぎて、個人の声はかき消されやすい。競争が激しすぎて、のんびりしてると置いていかれる。便利なものが生まれる一方で、それをどうコントロールするかという課題もまた巨大化する。

だからこそ、中国という国を理解するには、まず「数字」を見る必要があるのだ。頭の中のメジャーカップじゃ測れない。

Related Posts

毛沢東 革命と混沌に生きたカリスマの人生【第3部】

年代(年齢) 出来事 1949年10月1日(56歳) 中華人民共和国建国を宣言。 1950年(57歳) 朝鮮戦争参戦。 1953〜1957年(60〜64歳) 第一次五カ年計画実施、工業化促進。 195…

Continue reading
毛沢東 革命と混沌に生きたカリスマの人生【第2部】

年代(年齢) 出来事 1923〜1927年(30〜34歳) 国共合作期、労働・農民運動に没頭。 1927年(34歳) 上海クーデター、農村ゲリラ戦術へ転向。 1929年(36歳) 紅軍(人民解放軍の前…

Continue reading

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

見逃し

戦後から現代までの日本史【第六章/第五回】

  • 4 views
戦後から現代までの日本史【第六章/第五回】

戦後から現代までの日本史【第六章/第四回】

  • 4 views
戦後から現代までの日本史【第六章/第四回】

戦後から現代までの日本史【第六章/第三回】

  • 4 views
戦後から現代までの日本史【第六章/第三回】

戦後から現代までの日本史【第六章/第二回】

  • 4 views
戦後から現代までの日本史【第六章/第二回】

戦後から現代までの日本史【第六章/第一回】

  • 3 views
戦後から現代までの日本史【第六章/第一回】

戦後から現代までの日本史【第五章/第五回】

  • 24 views
戦後から現代までの日本史【第五章/第五回】