
目次
3. EUの成果とその影響
何かとツッコミどころ満載なEUだけど、存在意義が「口だけ番長」だったら、さすがにとっくに崩壊してる。
現実には、EUはガチでいろいろ成果を出している。正直ちょっと腹立つくらいちゃんとしてる部分もある。
ここでは、そんなEUの成果と、国際社会・加盟国に与えた影響を紹介していく。
3-1. 自由移動・貿易拡大・経済成長への貢献
まず、EU最大の目玉商品といえば自由移動の権利だ。
EU市民は、加盟国間をパスポート無しで行き来できる(シェンゲン協定1加盟国間に限るけどね)。
学生でも労働者でも観光客でも、国境を越えるたびに「パスポートどこ?どこなの?!」とパニクる必要がない。これは革命だった。
さらに、単一市場によって、モノとサービスも自由に移動できる。例えば、ドイツの自動車をフランスで売るのも、オランダのチューリップをイタリアでばらまくのも超スムーズ。おかげで貿易は爆伸びしたし、EU域内総生産(GDP)はぐいぐい成長した。
だいたい、1993年に単一市場が完成してから、EUの域内貿易量は2倍以上になった。伸びしろを証明してみせたわけだ。
そしてユーロ導入も手伝って、企業は為替リスクを考えずにビジネスできるようになり、経済活動の効率化が一気に進んだ。
(もちろんギリシャとか、ユーロの副作用で爆死しかけた国もあるけど、それはまた別の大人の事情。)
3-2. 国際社会におけるEUの存在感
「EUなんてヨーロッパの仲良しサークルでしょ?」って思う人、甘い。
実際のところ、EUは国際社会でもガチで影響力を持つ巨大な政治・経済ブロックに成長している。
例えば、世界貿易機関(WTO)2では単なる加盟国の一つではなく、EUとして交渉に臨む。
つまり、「俺ら個別じゃなくてチームで来たから、よろしく」って感じで超強気。国単位でガチバトルしている他国からすると、「うわ、またEU来たよ……(絶望)」ってなるやつ。
また、環境問題や人権問題、国際協定の場面でも、EUは「世界の良心」ポジションを取りに行くことが多い。
たとえばパリ協定(地球温暖化対策)3では、アメリカが一時離脱してた間、EUが「オレたちが引っ張るわ」って張り切ってた。誰も頼んでないけど自主的に善人ムーブをかましてるあたり、見てる方はちょっとニヤニヤする。
そしてEUの存在感が一番デカいのが、経済圏としてのスケールだ。2025年現在、EU全体のGDPはアメリカ、中国に次ぐ世界第3位(たまに2位)レベル。
まあ「EU全体(27か国)」と「ひとつの国」がほぼ同格で語られるとか、もう上位は規模がバグってるともとれる。
3-3. 加盟国間の平和維持と協力の実績
最初に誓った通り、EUはヨーロッパ内部の戦争を防ぐというミッションを、今のところかなり真面目に達成している。
第二次世界大戦以降、加盟国同士で本格的な戦争が起きた回数は、ゼロ。
これは人類史においてわりとスゴい記録だ(普段は喧嘩大好きな大陸なのに)。
さらに、冷戦後の旧東欧諸国を受け入れることで、民主主義や市場経済の広がりにも貢献。
「新しくEUに入りたい国」は、事前に人権守れ、腐敗減らせ、民主化しろというハードモード課題をクリアしなきゃいけないから、自然と国の質が底上げされる。
まあ、現実にはポーランドやハンガリーみたいに「言うこと聞かねーよ!」って子供も出てきたけど、それでも大規模な崩壊は起こっていない。
EUの平和維持力、割と本物。
【第3回】総括:「結果出せる系多国籍サークル」の実力
実際のところ、EUは「やたらと成果を出してくる存在」でもある。単一市場とユーロの導入により貿易は拡大し、自由移動の実現によって人の流れも活性化。国境がほぼ意味をなさないという「革命的な生活圏」を作り出してきた。
また、EUは国際社会においても影響力を増し、WTOや環境協定などでは1つの巨大ブロックとして堂々と交渉に参加している。良くも悪くも「出しゃばる系の善人枠」を担い続けるその姿勢には、意識高い系の風味すら漂う。
そして最も評価すべきは、「加盟国間で本気の戦争を一度も起こしていない」という歴史的実績である。これは地味に、ものすごいことだ。かつての戦場が、今ではルールだらけの経済共同体として機能している。その背景には、東欧諸国の加盟による民主主義の波及も含まれており、EUはまさに“平和を売る連合”としての看板を守り続けている。
第4回につづく
参考書籍・サイト:
本音化するヨーロッパ 裏切られた統合の理想 (幻冬舎新書) 三好範英 (著)
ユーロ危機とギリシャ反乱 (岩波新書) 田中 素香 (著)
ヨーロッパ統合史 名古屋大学出版会
欧州委員会(European Commission)公式サイト