欧州連合(EU)とは? 直面する課題と今後の展望【第4回】

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目次

欧州連合(EU)とは?【第3回】

欧州連合(EU)とは?【第3回】

「で、EUって実際どうなの?」という問いへの回答がここにあります。

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4. EUが直面する課題と今後の展望

夢と理想を抱えて走り出したEUだったが、現実は当然ながら血と汗と涙にまみれている。
なぜなら、27か国もあれば、国の事情も国民の考え方も、文化も宗教も、全部違うからだ。
つまり、友達同士でピザのトッピングすら決められない人類が、国レベルで団結しようとしてるのだから、無理ゲー感満載なのだ。

ここでは、EUが直面している重大な課題と、未来に向けた展望(希望的観測も多め)について、憐れみの目で整理してあげよう。


4-1. ブレグジットと統合の限界

2016年、イギリスが国民投票でEU離脱を決定(いわゆるブレグジット1)したのは、EUにとって壮絶なビンタだった。
「こんなにがんばって一緒にやってきたのに…裏切り者…!」って感じ。

しかもイギリスは、EU内でも経済規模が大きい方だったから、ただの感情問題ではなくリアルな痛手になった。

この事件が浮き彫りにしたのは、EUというプロジェクトの統合の限界。
すべての加盟国が「はいはい、みんなで協力しましょ~」って素直についてくるわけじゃないし、むしろ「おい、うちの国益はどうすんだよ」ってブチギレる国もある。

統合を進めれば進めるほど、逆に「アイデンティティ守れ!」って叫びたくなる国も出てくる。
この矛盾に、EUはこれからもずっと、頭を抱え続ける運命にある。


4-2. 移民問題・経済格差・ポピュリズムの台頭

次に、EUを蝕む三大神を紹介しよう。

  • 移民問題2
    中東・アフリカからの大量移民・難民の流入で、社会が緊張しまくっている。特に2015年のシリア難民危機では、EU中が「どうすんのこれ」「いやマジで」って大混乱。
    受け入れた国では、社会サービスがパンクし、受け入れ拒否派との対立が深まった。人道主義と現実の板挟みで、今も正解が出せていない。
  • 経済格差
    ドイツやオランダみたいな勝ち組国家と、ギリシャやブルガリアみたいな経済的に苦しむ国との間で、格差が広がっている。
    「EUって、金持ちが得して貧乏人が苦しむだけじゃん!」という恨み節が各地で渦巻いている。
  • ポピュリズム3の台頭
    移民や格差に怒った民衆たちが、「エリートどもは信用ならん!」と叫び始め、極右・極左政党が勢力を伸ばしている。
    イタリア、フランス、ポーランドなどで、EU懐疑派が普通に政権を取りそうな勢い。
    民主主義が自己崩壊モードに入ってる感じ、正直めっちゃ怖い。

4-3. 今後の拡大・深化に向けた課題とチャンス

そんなこんなで大変なEUだけど、それでも未来に向けて「まだイケるかも」と思っている節がある。
いや、正確には「イケなきゃ終わる」ので、意地で頑張ろうとしてる。

主な課題とチャンスはこんな感じ:

  • 新規加盟国への対応
    バルカン半島諸国(セルビア、モンテネグロなど)がEU入りを希望しているが、彼らを迎え入れるには、民主主義や法の支配の基準を守らせなければならない。ほぼミッションインポッシブル。
  • 防衛・外交分野での統合強化
    NATO頼みだった安全保障を、EU独自でも強化しようという流れがある。
    「ヨーロッパの安全はヨーロッパ人で守る!」(だが金も兵力も足りない)みたいな、ちょっとした無理ゲーに挑戦中。
  • デジタル・グリーン移行への対応
    AI、サイバーセキュリティ、脱炭素など、未来の課題にも本気で取り組んでいる。
    アメリカ・中国にボコられないためにも、ここは死守したいところ。EUもたまには未来を見ることにしたらしい。えらいね。

まとめ

EUという壮大な人類共同プロジェクトは、要するに「戦争はコスパが悪いし、そろそろ大人になろうぜ」という反省と希望からスタートした。石炭と鉄を握り合って始まった共同体は、今では経済、政治、法律、通貨、果ては移民政策まで巻き込みながら、27か国がギリギリのバランスで継続している。

成果としては、自由な移動や経済成長、国際的な発言力の拡大といった点で「まあまあやるじゃん」と評価できるし、何よりヨーロッパで本気の戦争が再発してない時点で、目的はだいぶ果たされている。ただし、その裏ではブレグジットや移民問題、ポピュリズムといった不協和音が常に響いており、「永遠の家庭内調整会議」は終わる気配がない。

今後も、拡大と統合の狭間で「統一感」と「各国の個性」がぶつかり合う中で、EUは相変わらず手探りで進んでいく。要するに、全体としてEUはまだ「やれてる」けど、「いつまでやれるかは知らん」というのが正直なところである。夢と現実を両肩に担いだ、この壮大な社会実験がどこに行き着くのか――少なくとも、目が離せないことだけは確かだ。

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参考書籍・サイト:

本音化するヨーロッパ 裏切られた統合の理想 (幻冬舎新書) 三好範英 (著)

ユーロ危機とギリシャ反乱 (岩波新書) 田中 素香 (著)

ヨーロッパ統合史 名古屋大学出版会

欧州委員会(European Commission)公式サイト

  1. イギリス(Britain)がEUから離脱すること(Exit)を指す造語。
  2. 異なる国や地域からの大量移動によって生じる社会的・経済的な問題。
  3. 大衆の不満を背景に、エリートや既存体制を批判して支持を得る政治手法。

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